法令改正情報の一覧
社労士が取り扱う労働分野や社会保険に関する諸法令は、改正頻度が非常に高く、何かしらの改正が毎年行われています。そのため、就業規則などの社内規定を見直したり、社内制度の改定を実施するなど、法令改正への対応が必要となります。
このページは、人事・労務に関する法令改正のスケジュールを企業の担当者の皆さまにお届けするものです。タグを利用して、カテゴリ別に絞り込むことも可能ですので、ぜひ、情報のキャッチアップにお役立てください。
介護休暇など両立支援制度の周知・意思確認が義務化
従業員が家族の介護に直面した旨を申し出た際、介護休暇など両立支援制度に関する個別の周知と意向確認が事業主に義務付けられます。また、40歳など介護に直面する前の早期段階での情報提供、研修の実施や相談窓口の設置といった雇用環境の整備も求められます。さらに、勤続6か月未満の従業員を労使協定にもとづき介護休暇の対象から除外することができますが、この制限も撤廃されます。
所定外労働の制限(残業免除)の対象範囲が拡大
一定の年齢に達するまでの子どもを養育する労働者は、事業主に対して請求することにより、所定労働時間を超える残業が免除されます。残業が免除される対象者は、これまで3歳になるまでの子どもを養育する労働者に限定されていましたが、小学校就学前の子どもを養育する労働者まで対象が拡大されます。
300人超の企業に男性従業員の育休取得情報の公表が義務化
常時雇用する従業員が1,000人を超える企業に、男性従業員の育休取得状況などを年1回公表することが義務化されていましたが、300人を超える企業も義務の対象となります。常時雇用する従業員は、雇用形態を問わず期間の定めなく雇用されている従業員が該当します。期間の定めがあっても、過去1年以上引き続き雇用されている従業員や、雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる従業員なども含まれます。
労働安全衛生関係の手続きの電子申請が一部義務化
「労働者死傷病報告」や「定期健康診断結果報告」など、労働安全衛生関係の手続きの一部について、電子申請が義務化されます。労働基準監督署へ来署することなく、パソコンやスマートフォン、タブレットから手続きを完了できます。また、義務化されていない手続きでも、特殊健康診断の結果報告や特定元方事業者の事業開始報告など、多くの手続きで電子申請が可能です。
フリーランスの保護強化に関する新たな法律が施行
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)が施行されました。フリーランスに業務を委託する事業者には、書面による契約条件の提示や支払期日の設定、ハラスメントの防止措置などが義務付けられます。違反した場合、事業者名の公表や50万円以下の罰金といったペナルティの対象となる可能性があります。
【2024年】最低賃金の引き上げ
10月から各都道府県の最低賃金が引き上げられます。引き上げ額(時給)は都道府県ごとに50円から84円です。全国加重平均で51円の引き上げとなり、1978年に最低賃金の目安制度が始まってから最高額の引き上げ額となります。最低賃金を下回る賃金しか支払っていない場合、差額分を支払う必要があるだけでなく、罰金のペナルティを受ける可能性があります。
短時間労働者に対する被用者保険の適用が拡大(51人以上)
パート・アルバイトなど、短時間労働者に対する社会保険の適用範囲が拡大されます。これまでは従業員数が101人以上の企業が対象でしたが、新たに51人以上の企業が対象に含まれます。社会保険に加入させる必要があるのは、「週の所定労働時間が20時間以上、賃金月額が8.8万円以上、2か月を超える雇用期間が見込まれる、学生ではない」の4つの要件をすべて満たす従業員です。
障害者雇用に関する相談援助を行う事業者への助成金を新設
障害者の法定雇用率が未達成の企業などに対し、雇入れや雇用継続に関する相談援助を行う事業者に支給される「障害者雇用相談援助助成金」が新設されました。一定の要件をクリアした認定事業者が相談援助を行なった結果、支援を受けた事業主が障害者雇用のための措置を講じた場合、60万円が支給されます(支援の対象が中小企業事業主または除外率設定業種の事業主なら80万円)。
業種ごとに定められた労災保険率が変更
業種ごとに定められている労災保険率が改定されます。労災保険率は業種平均で0.1/1,000引き下げられます(4.5/1,000→4.4/1,000)。全54業種のうち、引下げとなるのは17業種で、引上げとなるのは3業種です。
【2024年度】雇用保険料率(23年度と同率)
2024年度の雇用保険料率が発表されました。2023年度と同率です。具体的には、失業等給付などの保険料率は労働者負担・事業主負担ともに6/1,000(農林水産・清酒製造の事業、建設の事業は7/1,000)、雇用保険二事業における事業主の保険料率は3.5/1,000(建設の事業は4.5/1,000)です。