
法改正情報の一覧
社労士が取り扱う労働分野や社会保険に関する諸法令は、改正頻度が非常に高く、何かしらの改正が毎年行われています。そのため、就業規則などの社内規定を見直したり、社内制度の改定を実施するなど、法改正への対応が必要となります。
このページは、人事・労務に関する法改正のスケジュールを企業の担当者の皆さまにお届けするものです。タグを利用して、カテゴリ別に絞り込むことも可能ですので、ぜひ、情報のキャッチアップにお役立てください。

育児期の従業員が柔軟な働き方を実現するための措置が義務化
事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する従業員に対し、「始業時刻などの変更」「テレワークなど(月10日以上・時間単位で取得可)」「保育施設の設置運営など」「養育両立支援休暇の付与(年10日以上・時間単位で取得可)」「短時間勤務制度」の措置から2つ以上を選択し、講じなければなりません。措置の選択時は、過半数組合などから意見聴取する必要があり、従業員は講じられた措置から1つを選んで利用できます。
「年収の壁」対策に関する新コースがキャリアアップ助成金に新設
年収が130万円を超えると社会保険の扶養から外れて手取りが減少する、いわゆる「130万円の壁」対策として、キャリアアップ助成金に「短時間労働者労働時間延長支援コース」が新設されました。労働時間の延長や賃金の引上げといった収入増加に関する取り組みを進め、パート従業員などを社会保険に加入させた事業主に対し、最大75万円が支給されます。
企業の熱中症対策が罰則付きで義務化
一定以上の温度・時間で作業する職場の事業者に、熱中症対策が義務付けられます。熱中症患者が出た際の報告体制や、症状悪化を防止する措置の実施手順などを整備し、関係者に周知しなければなりません。対策を怠ったり、義務に違反した場合はペナルティの対象となります。都道府県労働局長または労働基準監督署長から作業の停止などを命じられるほか、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
【2025年度】雇用保険料率(24年度から引き下げ)
2025年度の雇用保険料率が発表されました。失業等給付などの保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに前年度の6/1,000から5.5/1,000に引き下げられます(農林水産・清酒製造の事業、建設の事業は7/1,000から6.5/1,000に引き下げ)。雇用保険二事業における事業主の保険料率は、前年度に引き続き3.5/1,000(建設の事業は4.5/1,000)です。
職業紹介事業者に紹介手数料の実績公開が義務化
転職エージェントなどの職業紹介事業者に対し、紹介手数料の実績公開が義務付けられます。4か月以上の有期または無期で雇用される「常用就職」の実績が多い上位5職種について、2024年度に徴収した紹介手数料の実績(常用就職1件当たりの平均手数料率)を厚生労働省の「人材サービス総合サイト」に掲載します。また、求職者に対する違約金の規約を設けている場合、分かりやすく明示することも義務化されます。
募集情報等提供事業者による金銭の提供が原則禁止
求人サイトの運営事業者など、募集情報等提供事業者による金銭の提供が原則禁止されます。2025年4月から募集情報等提供事業者は、社会通念上相当と認められる程度を超えて祝い金などの金銭やギフト券などを、労働者になろうとする人へ提供することができません。「社会通念上相当と認められる程度」の基準や目安は示されておらず、個別のケースごとに判断されます。
育児休業給付金の延長手続きが厳格化
保育園などに入れなかったことを理由に、育児休業給付金の支給対象期間を延長する際の手続きが厳格化されます。従来の手続きでは、市区町村が発行する保育所などを利用できない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書など)のみ提出していましたが、今後は市区町村に保育所などの利用申し込みを行ったときの申込書の写しと、「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」の提出が必要となります。
両親の育休取得で「出生後休業支援給付金」が支給
両親がともに子どもの出生から一定期間内に14日以上の育児休業を取得した場合、「出生後休業支援給付金」が最大28日間、支給されます。支給額は賃金の13%で、育児休業給付金と合わせると手取りの100%相当が支給されることになります。
育児に伴う時短勤務で「育児時短就業給付金」が支給
2歳未満の子どもを養育するために時短勤務を選択したことで、収入が減少した従業員に対して「育児時短就業給付金」が支給されます。支給額は、時短勤務時の賃金の10%相当です。ただし、時短勤務開始時の賃金水準を超えないよう支給額が調整されます。
高年齢雇用継続給付の支給率が15%から10%へ縮小
60歳以上65歳未満の従業員について、被保険者だった期間が5年以上で、賃金が60歳に到達した時点の賃金から75%未満となっている場合、ハローワークへの申請により⾼年齢雇⽤継続給付金が支給されます。給付金の支給率は最大で賃金の15%でしたが、2025年4月から最大10%まで縮小されます。将来的に給付金が廃止となる可能性もあるため、60歳以上の従業員に関する人事制度を見直してもよいでしょう。