法令改正情報の一覧
社労士が取り扱う労働分野や社会保険に関する諸法令は、改正頻度が非常に高く、何かしらの改正が毎年行われています。そのため、就業規則などの社内規定を見直したり、社内制度の改定を実施するなど、法令改正への対応が必要となります。
このページは、人事・労務に関する法令改正のスケジュールを企業の担当者の皆さまにお届けするものです。タグを利用して、カテゴリ別に絞り込むことも可能ですので、ぜひ、情報のキャッチアップにお役立てください。
所定外労働の制限(残業免除)の対象範囲が拡大
一定の年齢に達するまでの子どもを養育する労働者は、事業主に対して請求することにより、所定労働時間を超える残業が免除されます。残業が免除される対象者は、これまで3歳になるまでの子どもを養育する労働者に限定されていましたが、小学校就学前の子どもを養育する労働者まで対象が拡大されます。
300人超の企業に男性従業員の育休取得情報の公表が義務化
常時雇用する従業員が1,000人を超える企業に、男性従業員の育休取得状況などを年1回公表することが義務化されていましたが、300人を超える企業も義務の対象となります。常時雇用する従業員は、雇用形態を問わず期間の定めなく雇用されている従業員が該当します。期間の定めがあっても、過去1年以上引き続き雇用されている従業員や、雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる従業員なども含まれます。
短時間労働者に対する被用者保険の適用が拡大(51人以上)
パート・アルバイトなど、短時間労働者に対する社会保険の適用範囲が拡大されます。これまでは従業員数が101人以上の企業が対象でしたが、新たに51人以上の企業が対象に含まれます。社会保険に加入させる必要があるのは、「週の所定労働時間が20時間以上、賃金月額が8.8万円以上、2か月を超える雇用期間が見込まれる、学生ではない」の4つの要件をすべて満たす従業員です。
障害者雇用に関する相談援助を行う事業者への助成金を新設
障害者の法定雇用率が未達成の企業などに対し、雇入れや雇用継続に関する相談援助を行う事業者に支給される「障害者雇用相談援助助成金」が新設されました。一定の要件をクリアした認定事業者が相談援助を行なった結果、支援を受けた事業主が障害者雇用のための措置を講じた場合、60万円が支給されます(支援の対象が中小企業事業主または除外率設定業種の事業主なら80万円)。
業種ごとに定められた労災保険率が変更
業種ごとに定められている労災保険率が改定されます。労災保険率は業種平均で0.1/1,000引き下げられます(4.5/1,000→4.4/1,000)。全54業種のうち、引下げとなるのは17業種で、引上げとなるのは3業種です。
【2024年度】雇用保険料率(23年度と同率)
2024年度の雇用保険料率が発表されました。2023年度と同率です。具体的には、失業等給付などの保険料率は労働者負担・事業主負担ともに6/1,000(農林水産・清酒製造の事業、建設の事業は7/1,000)、雇用保険二事業における事業主の保険料率は3.5/1,000(建設の事業は4.5/1,000)です。
医師に対する時間外労働の上限規制が適用
医師に対する時間外労働の上限規制が適用され、年間の時間外労働が原則として最大960時間に規制されます。ただし、都道府県の指定を受けた医療機関は年間1,860時間まで緩和されます。規制が緩和される医療機関は、救急医療など地域医療の確保に必要な医療機関(B水準)、医師の派遣を通じて地域の医療提供体制の確保に必要な役割を担う医療機関(連携B水準)、医師や研修医の研修などを行う医療機関(C水準)が該当します。
ドライバー職に対する時間外労働の上限規制が適用
トラックやバス、タクシーなどのドライバーに対して時間外労働の上限規制が適用され、年間の時間外労働が最大960時間までに規制されます。労働時間の適切な管理に加えて、人手不足に対する人員の確保や業務の効率化を図ることが重要です。
建設業に対する時間外労働の上限規制が適用
建設業は労働時間の上限規制に猶予期間が設けられていましたが、規制の対象となります。時間外労働の上限は月45時間・年360時間が原則です。労使間で臨時的な特別な事情による特別条項を合意していたとしても、年720時間(月平均60時間)などの上限が設けられます。違反すると罰金の対象となる可能性があるため、労働時間の正確な管理が必要です。
【2024年度】障害者の法定雇用率が引き上げ(2.3%→2.5%)
障害者の法定雇用率が従来の2.3%から2.5%に引き上げられます。引き上げにより、40人以上の従業員を常時雇用する事業主を対象に、障害者の雇用が義務付けられます。障害者雇用の支援を目的とする助成金の新設や拡充が予定されています。ぜひ、活用してください。